心にもあること

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【ネタバレあり】舞台「ひげよ、さらば」レポ

どうも。

 

中島裕翔くん主演舞台「ひげよ、さらば」を観て来た。

 

この作品は同名の児童文学を原作としている。脚本と演出を手掛けるのは映画「ピンクとグレー」でも裕翔くんとタッグを組んだ蓬莱竜太さん。

 

公式サイト記載のあらすじは以下の通り。

 

峠に住む野良猫たち、しかしその峠は野良犬たちに狙われていた。

統率力を持って動く犬たちに、勝手気ままに暮らす猫たちが住む峠が支配されるのは時間の問題であった。

そして、猫の「片目」(柄本時生さん)は一匹だけそんな状況に危機感を持っていた。

 

ある時、峠に記憶を無くした猫が辿り着いてくる。

名前は「ヨゴロウザ」(裕翔くん)

自分の名前しか覚えていない。

名前からして飼い猫であったことは推察されるがそれ以外のことは何も覚えていなかった。

片目はヨゴロウザと出会い、野良犬たちと対抗する組織を作るためにヨゴロウザを峠のリーダーに担ぎ上げようとする。

 

片目はヨゴロウザのことを気に入り、ヨゴロウザは片目を慕った。片目はヨゴロウザに峠での生き方、戦い方などいろいろなことを教えていく。

そして、リーダーに求められること、それぞれの猫たちの性格、犬の怖さなど…。

頑なな心を持った峠の猫たちも、リーダーシップを発揮していくヨゴロウザに対して徐々に心を開いていく。

 

ヨゴロウザと片目が様々な試練を経て、辿り着く道とは…。

 

他のキャストは以下の通り。

学者猫(音月桂さん)…知識豊富で理屈っぽい。片目と同じく猫たちが統制力を持って行動すべきと考えている。

オトシダネ(忍成修吾さん)…キザで純血主義。自分の種族に誇りを持ち、雑種を見下している。

ナキワスレ(石田佳央さん)…野良犬軍団の2番手。手下の犬を引き連れて定期的に峠の猫たちに圧力を掛けに来る。非常にけんかっ早い。

黒ひげ(一ノ瀬ワタルさん)…自分より下に見ている相手だけには偉そうな態度をとる脳筋。例えるならジャイアン

星からきた猫(屋比久知奈さん)…ミステリアスな魅力をまとった魔性のメス猫。多くを語ろうとしないが常に物事を俯瞰している。

くずれ猫(中村梅雀さん)マタタビ中毒の年寄り猫。猫たちからは老害扱いされている。

 

以降ストーリーのネタバレを含む。既に大千穐楽は終了しているが、今後もし再演・映像化などが決まり、本記事を見に来た方は、以降の閲覧は自己責任でお願いします。

 

猫たちのリーダーが決まらないままなんとなく過ごしていたある日、ナキワスレ率いる野良犬軍団に峠を囲まれてしまった。するとヨゴロウザがナキワスレに対し、「そっちのボスに会わせて話がしたい」と切り出し、野良犬軍団をなんとか追い払うことに成功した。

野良犬軍団のボス・垂れ耳に会うために一人峠を旅立ったヨゴロウザ。そこに片目が追いかけて来た。勢いに乗って走り出すも、途中で野良犬たちに囲まれて二匹は離れ離れになってしまった。

垂れ耳のいる場へ通されたヨゴロウザは、垂れ耳から、片目が野良犬たちと裏取引をして、仲間の猫を月に1匹ずつ生贄として差し出すことを条件に命を守ってもらっていること、学者猫の息子のナミダを差し出したこと、そして今自分が差し出されていることを聞かされ、ひどく憤った。野良犬たちに囲まれたその時、ヨゴロウザは火の海から女性の声が聞こえる幻覚を見た。その瞬間、力がみなぎり、野良犬たちに果敢に突っかかり、野良犬たちの棲み処から脱出に成功した。

見事野良犬たちの棲み処から生還したヨゴロウザは、峠で英雄扱いされた。ヨゴロウザは自分を生贄として差し出した片目を群れからハブった。野良犬たちの恐ろしさを目の当たりにしたヨゴロウザは峠の猫たちに軍隊のような行動をとるように説き、猫たちに無茶な練習を強いた。猫たちの不満がたまっていく中、ヨゴロウザは足の怪我をしている学者猫に無茶な罰を言い渡した。学者猫は抵抗のためにとぼろぼろになりながらも罰を受けきった。歓喜する猫たちを見て、ヨゴロウザはやる気を失い、マタタビ中毒となってしまった。

そんなヨゴロウザを片目は見捨てなかった。片目はヨゴロウザのマタタビを取り上げて隔離し、ヨゴロウザの中毒を治した。やっと我に返ったヨゴロウザは自分のためにここまでしてくれた片目を許した。

猫たちは再び統率のとれた集団となるべく、役割を決めて過ごしていたが、野良犬たちが峠を襲うことはなくなっていった。しかし、油断をしのんびり過ごしていたある日、野良犬たちが峠を襲撃した。完全に包囲され、背水の陣となった猫たちは、峠に火をつけて逃げる選択をした。しかし、片目は自分の罪を償うため、火の海にとどまっていた。ヨゴロウザは片目が逃げていないことに気づき、火の海の中、記憶を失う前の記憶と闘いながらも片目を救出した。

峠を焼き払ってしまった猫たちは、それぞれで峠を降りて生きることを決断した。ヨゴロウザは命からがら救出した片目を連れて歩いていると、垂れ耳の遺体を担いで歩くナキワスレに出会った。垂れ耳の慎重な姿勢にしびれを切らしたナキワスレが垂れ耳を殺してしまったのだった。猫たち、野良犬たちが峠を失い、新たな生活へと向かっていくのだった。

 

あらすじは以上。観劇から時間が経ってしまったから多少の間違いは目をつぶってください…。

 

特徴的な演出として、児童文学が原作だからか、文学の筋書きのような説明セリフが多かった。朗読劇ではなくストレートプレイなので、安易に登場人物の心情や行動を言葉で説明をするのではなく、演出や演技で表現するように努めてほしかった。

 

あと、野良犬のボスの垂れ耳が役ではなくて作りものなのが笑ってしまった(笑) 天てれの舞台かな?ってね。ナキワスレの存在感が凄かっただけに、作り物の垂れ耳の威厳があまり感じられなかった。

 

クライマックスの火の海の演出は見事だった。大きな赤い布を使ってどんどん火が燃え盛っていく様子が見ていて伝わってきたし、舞台作品を盛り上げることに成功していたと思う。あそこは見ていてかなりゾクゾクした。

 

あと、タイトルの回収も見事だったね。私が予想していた意味とは違っていたから、どうかタイトルの意味を予想してから今後観る人は観てほしい。

 

裕翔くんの演技は、「ウェンディ&ピーターパン」と比べて演技が浮いておらず自然だったと思う。他のキャストさんに埋もれることなく、主演としての存在感も発揮していた。裕翔くんは意外とファンタジーより、リアルな人間関係を描いた生々しい作品の方が合っているのかもね。

 

他のキャストさんで目を引いたのは屋比久知奈さんかな。登場するだけで星からきた猫のミステリアスな魅力が板の上を支配していた。

 

PARCO劇場は本人確認が厳しいと耳にしていたが、私が行った際は身分証を用いた本人確認はなかった。ただ、今回たまたまなかっただけの可能性もあるため、今後PARCO劇場に足を運ぶ人は、しっかり自分の名義でチケットを取って、身分証明書の持参もお忘れなく。

因みに劇場自体は、きちんと客席に傾斜があって見やすかった。後ろの方だったが、むしろ演出全体をしっかり楽しむことが出来て良かった。

 

では。